占いお宿II 新たな契りを結ぶ時

「他国のことに口を出すことが良いとは思わないが……あえて言わせて欲しい。あくまで、私の考えだが、マリアーナはシュトラスに帰るべきだ」

きっぱり言い切ったアルフレッドに、まるで裏切るのかとでもいうような視線を向けてしまう。マリアーナもわずかに目を見開いて、戸惑っている。

「シュトラス国王とのわだかまりを解いて、公の場で王女としての立場を、正式に認められるべきだ」

「わ、私が皆さんといることは、そ、それほどまでに迷惑だったので、しょうか」

震える声でなんとか声を上げたマリアーナの肩に、アルフレッドが手を置いた。そのまま彼女の体を自分へと向けさせる。

「違うぞ、マリアーナ。マリアーナの王女としての地位が確立されなければ、いくら自由な結婚を許しているグリージア国王も、私があなたに求婚することを許可してくれないだろう」

「え……」 

そ、それって……
ちらりとルーカスを見ると、ニヤリと口の端を上げた。

「やっとか、ヘタレ王太子」

「ヘタレとはなんだ。ストーカー王子」

「俺はこれでやっと、心置きなくライラを愛でられるな」

相変わらず口の悪いやりとりに、誰もついていけてない。

「ルーカス、どういうこと?」

尋ねるべき相手がわからず、とりあえず訳知り顔のルーカスに声をかけた。

「なんだ、ライラ。気付いてなかったのか?最近、俺がライラに絡み付いても、アルフレッドのヤツの文句が、あまり飛んでこなかっただろ?」

言われてみれば……そうだったかも。でもそれは、彼がマリアーナを気にかけていたこともあって……

「こいつ、ヨエルの代わりにマリアーナを見守っ……」

「ルーカス、ストップだ。人の気持ちを勝手に代弁しないでもらおうか」

「ああ、すまん」

〝じゃあ、どうぞ〟というように、ルーカスがアルフレッドに手を振って促す。その様子をおもしろそうに見つめるドリーとローラ。興味津々の私。揶揄うようなルーカス。