「私は以前、ライラに占ってもらったぞ」

「なんだって!?」

ああ、そうだった。アルフレッドがここへ初めて来た時、将来自分の横にいる女性を占ってあげたんだわ。

「ま、まさか、ライラじゃないよな?ライラは俺の番だからな!!」 

「ルーカス、落ち着いて」

興奮するルーカス宥めつつ、さりげなく2人の距離をあけさせる。

「将来、私の隣にいる女性は、波打つブロンドの、長い髪の女性だそうだ。残念ながら、顔まではわからなかったが」

「ブ、ブロンド……」

ちらりと私に目を向けるルーカス。考えていることが、手に取るようにわかる。〝波打つ〟〝ブロンド〟のところは、私と合致しているのだから。

「ラ、ライラ。髪を伸ばす予定は?」

「特に、なにも考えてないわ」

仕事をする上で邪魔になるから、切るか縛るかするつもりだ。

ここへ来てすぐバッサリと切った髪は、今は肩より少し下のあたりまで伸びている。いつもはそれを簡単に縛っている。
もう一度切ってしまいたい。けれど、切ってくれる人がいない。以前は手先が器用なウサギの獣人で、元ここの従業員だったチェリーが切ってくれた。そのチェリーも、今やお母さんだ。さすがにもう頼めない。サンミリガンかグリージアで切るしかないけれど、それもなんだか気が進まない。そうすると、必然的に髪を伸ばすことになるわけで……

「俺が腕のいい美容師を連れてきてやる」

「いいえ、遠慮しておきます」