困惑が支配しつつある中、ルーカスは興味を無くしたのか、ずっと私の髪を自分の指に巻き付けて遊んでる。
「ヨ、ヨエルは騎士として優れているが、将来的には護衛もできる側近として、私につくはずだったのだ。ヨエルの手腕は優秀だと、当時父上も感じていた。だから、今こそだと父上との和解の仲立ちをして、そ、その……私の仕事を押し付けてきた」
最後の方は小声になっていったユリウス。誰もがヨエルに同情した。
つまるところ、この騒動はある一家庭の、壮大なるすれ違いってことでいいのかしら?
「コホン」
空気を変えるように、わざとらしい咳払いをするユリウス。居住まいを正して真面目な顔をすると、マリアーナに向き合う。その威厳は、いくら取り繕ってもかなり目減りしている。
「マリアーナ」
「はい、お兄様」
マリアーナも、兄につられて背筋を伸ばす。
「今まで、本当にすまなかった」
「お兄様……お兄様は、いつだって私のことを考えてくださっていたわ。だから、謝るだなんてやめてください」
「しかし……」
なおも謝罪の言葉を口にしようとするユリウスに、マリアーナは首を振った。
「ここにいる、全員にお礼を言う。マリアーナを……私の妹によくしてくれて、本当にありがとう」
私達は、彼にお礼を言われることなんて、なに一つしていない。ただ、マリアーナとヨエルの友人となって、したいようにしただけ。ここにいる全員が、そう思っているはず。
「礼など必要ないぞ、ユリウス殿。私達は、マリアーナだからこそ友となり、力になりたいと思ったのだ」
「そうよ。私達、友人でもあり、同僚でもあるの。ね、マリアーナ」
アルフレッドの言葉に乗って、私も本心を晒す。
「お二人共……ありがとう」
「マリアーナは、俺の番の友人だ。大切にするのは当たり前のこと」
「ルーカスさん……みなさん、ありがとう。お兄様、ほら。私、少しも悲観なんてしてないわ」
「……そのようだな。マリアーナを……妹を支えてくれて、ありがとう」
ユリウスは、再度私たちにお礼を述べた。
よかった。これで、めでたしめでたしね。思わずルーカスと目を合わせたその時、ユリウスの一言が、その場を凍りつかせた。
「ヨ、ヨエルは騎士として優れているが、将来的には護衛もできる側近として、私につくはずだったのだ。ヨエルの手腕は優秀だと、当時父上も感じていた。だから、今こそだと父上との和解の仲立ちをして、そ、その……私の仕事を押し付けてきた」
最後の方は小声になっていったユリウス。誰もがヨエルに同情した。
つまるところ、この騒動はある一家庭の、壮大なるすれ違いってことでいいのかしら?
「コホン」
空気を変えるように、わざとらしい咳払いをするユリウス。居住まいを正して真面目な顔をすると、マリアーナに向き合う。その威厳は、いくら取り繕ってもかなり目減りしている。
「マリアーナ」
「はい、お兄様」
マリアーナも、兄につられて背筋を伸ばす。
「今まで、本当にすまなかった」
「お兄様……お兄様は、いつだって私のことを考えてくださっていたわ。だから、謝るだなんてやめてください」
「しかし……」
なおも謝罪の言葉を口にしようとするユリウスに、マリアーナは首を振った。
「ここにいる、全員にお礼を言う。マリアーナを……私の妹によくしてくれて、本当にありがとう」
私達は、彼にお礼を言われることなんて、なに一つしていない。ただ、マリアーナとヨエルの友人となって、したいようにしただけ。ここにいる全員が、そう思っているはず。
「礼など必要ないぞ、ユリウス殿。私達は、マリアーナだからこそ友となり、力になりたいと思ったのだ」
「そうよ。私達、友人でもあり、同僚でもあるの。ね、マリアーナ」
アルフレッドの言葉に乗って、私も本心を晒す。
「お二人共……ありがとう」
「マリアーナは、俺の番の友人だ。大切にするのは当たり前のこと」
「ルーカスさん……みなさん、ありがとう。お兄様、ほら。私、少しも悲観なんてしてないわ」
「……そのようだな。マリアーナを……妹を支えてくれて、ありがとう」
ユリウスは、再度私たちにお礼を述べた。
よかった。これで、めでたしめでたしね。思わずルーカスと目を合わせたその時、ユリウスの一言が、その場を凍りつかせた。


