占いお宿II 新たな契りを結ぶ時

「その後しばらくして、私はまた旅に出たの。あの時は……そうそう。ネクロマンサーになりたくね。本物のネクロマンサーが住んでるって噂を信じてて。まあ、会えなかったし、なれなかったんだけど」

ちょっと決まり悪そうなローラは、〝若気の至りだな〟とドリーに呟かれて、苦笑を漏らした。

「そろそろ旅も長くなったし、ドリーが恋しくて、一旦もどろうって思った。ついでに、カレルヴォやユリウスと会って、なんて思ってシュトラスに寄って驚いたわ。私のいなくなった数年の間に、一体なにがあったのかってぐらい」

自分が色を変えたマリアーナはいなくなってるし、ヨエルもいない。王妃は亡くなったっていうし、カレルヴォは心を失ってしまっていた。国王としての役割はこなしていたけれど、正直ユリウスの手助けがなかったら、シュトラスは滅びていたんじゃないかっていう有様。そこで唯一ちゃんとしていたユリウスに、これまでの話を聞き出したという。

「このお坊ちゃんったら、王妃が亡くなって後ろ盾を失ったマリアーナを助けたい一心で、マリアーナを遠くにやったっていうの。その後、城からかなり離れた所にいたヨエルに、マリアーナを救って欲しいって掛け合ったとか」

ジロリと見やるローラに、ユリウスも睨み返す。この二人の関係性は、なんだか不思議だ。

「仕方ないだろ。あの時は私もまだ幼かったし、マリアーナを隠すだけで精一杯だった」

「まあね。わからなくもないわよ。カレルヴォの周りは、後妻をなんて騒ぎ立てたみたいだしね。ユリウスの身も危なかっただろうし、マリアーナも消されてもおかしくなかった」

「私が早く大人になって、父上にも認められる働きができるようになったら、マリアーナを迎えにいくつもりだったのだ。しかし、マリアーナの乳母に、その状況を知らされて……」

ユリウスは当時の自分の行動を後悔するように、眉間に皺を寄せた。