占いお宿II 新たな契りを結ぶ時

「ちょうど、マリアーナが生まれてすぐの頃だったわ」

話の核心だと悟った。
ローラの明るさもあって、どこか緩んでいたけれど、一気に緊張感が高まっていく。

「知っての通り、カレルヴォは王妃とヨエルの仲を疑っていた。ううん。きっと、頭の片隅では、そんなことないってわかっていたのだと思う。けれど、マリアーナの〝色〟を見てしまうと、どうしても目を背けてしまうの」

俯いてしまったマリアーナの肩に、アルフレッドが励ますよう手を添える。

「カレルヴォは、まだ子どもにすぎない私を見て、最初は胡散臭そうな顔をしたわ」

その当時を思い出したのか、ローラはくすりと笑った。

「まあ、ユリウスはお姉さんができたと、喜んですぐに懐いてくれたけどね」

決まり悪そうにするユリウス。きっと、日頃からローラには、いいように扱われているのだろう。

「私は別に、どうでもよかったの。カレルヴォが私を信用しないのなら、シュトラスを出ればいいだけのこと。けれどカレルヴォは、私を信用こそしていないものの、そばにおいた。私の力を試すように様々なことをさせた結果、心を開いてくれたわ」

そういうやりとりの中で、王妃とヨエルの仲を疑っていること、マリアーナの色を見ると、心が苦しくなると、カレルヴォは誰にも話せなかった本音を語ったという。

「カレルヴォは、王妃のことを本当に愛していたの。そんなはずかないと思いながらも、彼女のことを疑ってしまうし、マリアーナを直視できなかった。そこで私に、せめて〝色〟を変えるように依頼してきたのよ。まあ、ドリーがさらに上書きしたみたいだけど」

不満げな視線をドリーに向けたローラだったけれど、仕方がないかと、ふっと小さく息を吐くと、マリアーナに笑みを向けた。