「サンミリガンの獣人は、とっても可愛いの。でも、私が魔女だってすぐにバレちゃって。避けられちゃうから、すぐに西へ向かったわ」
そういえば、獣人は魔女が苦手だったと、ルーカスをちらりと見た。が、意外にも、彼は平気そうだ。
「海を渡ったら、全く世界が違ったの!!」
文化も違えば習慣も全く違い、ローラはその土地の方言を覚えながら、さまざまな国を見て回ったという。
なんだかローラの瞳の輝きに惹きつけられて、思わず前のめり気味に聞き入ってしまう。それを引きもどすかのように、私の手を握っていたルーカスは、そこにぎゅっと力を込めた。首を傾げて視線を向けた私に、ルーカスはそっと耳打ちする。
「一人で勝手に、外の世界へは行かせない」
いつもなら、〝なにを言ってのか〟と言い返していたと思う。けれど、切なげに揺れる彼の瞳に気が付いてしまったら、なにも言い返せなかった。
「それで、どれぐらい経った頃かなあ。シュトラス王国に入ったの」
シュトラス王国は、一体どんな国なのだろう。
それまでたくさんの人達と関わりながら旅をしていたというローラ。泊めてもらったお礼に、魔女の力で家の傷みを直したり、占いを頼まれたりしてきたという。
「シュトラスって、すっごく自然が豊かだし、王都は思いのほか栄えているし、おもしろかったから、思わず長居しちゃったの」
長くいればいるほど、噂は広まるもの。魔女に縁のなかったシュトラスで、ローラはちょっとした有名人になっていたらしい。
「そこでね、なんと国王陛下から声がかかっちゃって」
軽い。軽すぎるわ。国王陛下からのお声かけだなんて、私なら震え上がっていたはず。身柄を拘束されるとか、そんなことは思わなかったのだろうか?ローラの口調は、どこまでも陽気だ。
そういえば、獣人は魔女が苦手だったと、ルーカスをちらりと見た。が、意外にも、彼は平気そうだ。
「海を渡ったら、全く世界が違ったの!!」
文化も違えば習慣も全く違い、ローラはその土地の方言を覚えながら、さまざまな国を見て回ったという。
なんだかローラの瞳の輝きに惹きつけられて、思わず前のめり気味に聞き入ってしまう。それを引きもどすかのように、私の手を握っていたルーカスは、そこにぎゅっと力を込めた。首を傾げて視線を向けた私に、ルーカスはそっと耳打ちする。
「一人で勝手に、外の世界へは行かせない」
いつもなら、〝なにを言ってのか〟と言い返していたと思う。けれど、切なげに揺れる彼の瞳に気が付いてしまったら、なにも言い返せなかった。
「それで、どれぐらい経った頃かなあ。シュトラス王国に入ったの」
シュトラス王国は、一体どんな国なのだろう。
それまでたくさんの人達と関わりながら旅をしていたというローラ。泊めてもらったお礼に、魔女の力で家の傷みを直したり、占いを頼まれたりしてきたという。
「シュトラスって、すっごく自然が豊かだし、王都は思いのほか栄えているし、おもしろかったから、思わず長居しちゃったの」
長くいればいるほど、噂は広まるもの。魔女に縁のなかったシュトラスで、ローラはちょっとした有名人になっていたらしい。
「そこでね、なんと国王陛下から声がかかっちゃって」
軽い。軽すぎるわ。国王陛下からのお声かけだなんて、私なら震え上がっていたはず。身柄を拘束されるとか、そんなことは思わなかったのだろうか?ローラの口調は、どこまでも陽気だ。


