占いお宿II 新たな契りを結ぶ時

「とりあえず、落ち着きましょう」

アルフレッドに宥められながら、隣の部屋へ向かう。ここからは、全員で席に着くことになった。

「まずは、改めて、それぞれの紹介からだな」

と切り出したアルフレッドに従って、順に名乗っていく。

「シュトラス王国のユリウスだ。そこにいる、マリアーナの実兄だ」

苦々しい視線をアルフレッドに向ける。理由は一つ。妹であるマリアーナが、自分ではなく、アルフレッドの横に座ったから。ここ数日の間に、マリアーナはすっかりアルフレッドに気を許し、信頼しているようだ。
私とルーカスも名乗ると、ユリウスはこれまでのことを聞いていたのか、〝妹が世話になった〟と伝えてきた。
そして、さっきから気になって仕方がなかったのが、ドリーの隣に座っている女性の存在。

「私はドリーの義娘で、魔女のローラよ。今回のことは、元はといえば私のせいでもあるの。本当にごめんなさい」

潔く謝罪したのはいいけれど、話を聞かされていない私達は状況が掴みきれない。一体、なにがどうしたというのか?

「一つずつ追って、双方の認識を一致させよう」

「ま、待ってください」

アルフレッドの仕切りを遮ったマリアーナは、緊張からか、声が上ずっている。

「ヨエルは?ヨエルはどうなったんです?」

彼女にとって、ヨエルの存在は想像以上に大きい。なによりもその安否を気にかけていた。

「マリアーナ、ヨエルはシュトラスにいる。大丈夫だ」

「本当に?」

「ああ」

ユリウスが言うのなら、その通りなのだろう。

「じゃあまず、マリアーナを取り巻く、幼少期の状況と、鑑賞地達にたどり着いたところまでの認識だが、そこは知っている通りだった。問題は、こうしてシュトラスの王太子であるユリウス殿が、マリアーナを追ってはるばるグリージアまでやってきた事情だな。ついでに、ハーピーのことと」

「それについては、私が説明するわ」

声を上げたローラに対して、アルフレッドもユリウスも同意した。