占いお宿II 新たな契りを結ぶ時

その数日後、シュトラスからの先触れが届けられた。


ー2日後、火急の用により、グリージア城を訪問するー



なんとも不気味で、まったく目的がわからない先触れに、私たちは一様に首を捻り、緊張が増した。
それにしても2日後だなんて、あまりにも早急な知らせだ。付き合いのある相手ならともかく、グリージアもサンミリガンも、これまでシュトラスとは一切交流がなかったのだ。こんな急な訪問は失礼になりかねない。
遠方からの訪問ならば、宿泊の用意も考えなければならないけれど、そのことにはなにも触れていない。これでは、わからないことだらけで対策の練りようもない。そのせいで、悶々とする2日間を過ごすことになった。


「なあに、そう心配せんでもいい」

と言う、ドリーの言葉をそのまま信じていいのかどうか……




* * *

「ルーカス様。こちらへ向かっていたハーピーですが、グリージアへ入った直後、行先を変更したようです。既に王都に入っていたハーピーも同様に、去っていったようです」

「どういうことだ?」

「わかりません。とりあえず、全て北の方へ向かったようです」

「北?マージュミアルか」

ジャレットの知らせは、ひとまずよいことだと言ってよさそうだ。攻撃的でもあるハーピーが、他所へ行ってくれるのだから。

「それからシュトラスからの一行ですが、既にグリージアに入っています。本日昼過ぎには、こちらへ到着するでしょう」

いよいよだ。
私以上に緊張しているマリアーナは、顔色も悪く、今にも倒れてしまいそうだ。

「マリアーナ、大丈夫か?」

心配したアルフレッドが、マリアーナにショールをかけてあげながら、震える彼女の手を握った。

「は、はい」

「大丈夫だ。私達が全力で守る」

「あ、ありがとうございます。アルフレッド様」