グリージア側の代表が挨拶をしようと、一歩前に踏み出した時、〝ルーカス!!〟と気安い雰囲気で呼ぶ声が響いた。足早に駆け寄ってきたのは、アルフレッド本人だ。

「アルフレッド!!久しぶりだな。婚約者共々、招待してくれてありがとう」

ルーカスの先制攻撃に、一瞬こめかみをピクリとさせたアルフレッドだけれど、さすがにこの場で宿屋で見せていたような姿は自重したようだ。

「あ、ああ。ようこそ、ライラ・ガーディアン。ゆっくりしていくといい」

「あ、ありがとうございます」

表面上にこやかな面々だけれど、その内はそれぞれ複雑なことになっているだろう。私達の関係性に、家臣達は戸惑うばかりだ。
そりゃそうでしょうね。私もどう振る舞うべきか、わかってないのだから。


着いて早々に、陛下自らの希望もあって、そのまま謁見の間へ通された。人払いがされていて、その場には陛下とアルフレッド、ルーカスと私、それからなぜか侍女扱いのドリーがいる。

陛下は自からの非を認め、私に詫びた。国王陛下が頭を下げる様に狼狽えつつも、もちろん素直に受け入れた。
もうこれで、ほんの少しのわだかまりもない。



その後対面したマリアーナは、思った以上に明るい表情をしていてホッとした。でも、ゆっくりしてもいられない。早速お互いに知り得た情報の交換と、今後の方針を話し合うことにした。