占いお宿II 新たな契りを結ぶ時

「どうした?ライラ」

顔中から、幸せオーラを出してるんじゃないわよ!!今度こそ、その胸元をぐっと押して距離をとった。

「陛下に報告って……」

「王族たる者、報連相は基本だ」

なにを堂々と言ってるのよ!!
そうじゃない、そこじゃないのよ!!

「さっきの言い方だと、完全に私がルーカスの番になるって決めたって、そう伝わっちゃうじゃないの!!」

「ライラは、俺の番になってくれないのか?」

なによ、その捨てられそうで、悲しげな仔犬みたいな顔は……今はありもしないオオカミの耳が、しゅんと垂れている姿が見えてしまう。その破壊力たるや……

「そ、それは……まだわからないというか……」

「じゃあ、問題ないな」

途端に元気になったルーカスを、ジロリと睨む。この男、最近新たな攻め技を習得してない!?ちょっとイジイジして見せれば、私が折れるとでも思って。

「ルーカス、ひかかってることがあるんだけど」

「なんだ?」

「呪いさえ解ければ、自ら動くんじゃなかったかしら?」

ジャレットやドリーに、悔しそうにそう言うのを、確かにこの耳で聞いたわ。

「ま、まあ。だが、ここに状況を把握している人がいないのはまずい」

「ジャレットがいたわよね?彼、往復したばかりだし。たとえ獣人は人間より体力があるとはいえ、あなたと交代したって悪くないはず」

「そ、そうだが、こちらにもいろいろと都合というものが……」

「どんな?」

「そ、それは……」

そこで、ハッとした。

「もしかして、この前私が廊下にいたことに、気が付いていたんじゃ……」

ジロリとルーカスを見やる。

「こ、この前というのは……」

この狼狽えぶり、確信犯だわ。