桃と妖怪の日記

「う〜。キョウちゃんの意地悪ーっ!」


勇「……。」


あれから猛勉強し、すっかり昼下り頃となった


勇吾は疲れきってしまい、1言も言葉を発さず
ただ机に突っ伏す


(よりによってこいつと2人きりになるなんて…。)


隣に座るもう1人の馬鹿を私は眺める


キョウちゃんは買い物へと行き、トシは仕事が
入ったと途中で家を出ていってしまった


私の視線を感じたのか勇吾は顔を上げた


勇「何見てんだよ、ブス。」


「はいはい。もうそういう毒舌はいいからさ…。」


私は再度やる気を出し始める


「これが終わったら念願の…海!」


勇「あ、お前も海行くのか?」


「まさか、あんたも行くつもりなの?」


勇「まぁ…誘われてるからな。」


「うげ〜もしかして行く日にち被ってないでしょうね。」


勇「俺は15日」


「はぁ〜良かった。私と被ってなかった。」


(海で遊んだあと、夜に開催する花火大会に行けるんだー!)


勇「俺だって何が悲しくて休みに入ってまで
  お前と夏休み一緒に過ごさなきゃならねぇんだよ。」


「そう言いうなら今からでも出てって貰えますかね?」


勇『はぁー…何で毎回、俺ら喧嘩す…んだろうな。』


「え?何でって…。」
今更何を言ってるのだろう?


勇「あ?何の話しだよ。」


勇吾は首を傾げ不思議そうに見る


「え?だってあんた今…。」


勇『ヤッベー、心の声漏れ…と思っ…。』


勇吾は口を開いていないのに勇吾の声が聞こえてくる


(私…いつの間にエスパーになった?)


勇『こいつ、と居ると自分の素になれるから楽。
  居心地…良い…だ。』


途切れ途切れに聞こえてくる勇吾の心の声


勇『ずっ…と、此処に居たい。離れ…ない。
  俺が、守らなきゃ。』


聞かれたら恥ずかしい言葉が次から次へと
私の頭の中に流れ込んでくる


(やっばい…全然集中出来ない。)


普段のトゲのある言葉とは反対に素直な勇吾の
言葉が頭に勝手に流れ込み、こっちまで恥ずかしくなってくる


勇『もうこれ以上、大切な人…失いたくない…。』


悲しそうな勇吾の気持ちが流れてきた


(勇吾も誰かと離れちゃった人が居るのか。)


こっちまで悲しくなってきてしまった


え?待てよ?って事は…


(心の声は本心?)