〜兄視点〜
あれから僕達は毎日病院で寝たきりになった
母さんのお見舞いへと向かっていた
今日は桃子とじいちゃんが先に病院へと向かっており、
僕はあとから病院へ向かう
今日の天気はだいぶ雨が振りしきり、
あたりが薄暗くなっていた
兄(桃子は毎日来たら大変だろうに…。)
昨日なんて疲れすぎて母さんのベットに突っ伏し
寝てしまっていたのだ
母さんの様子は、良くはならず寧ろだんだん
弱々しくなっていってしまった見た目へと
変貌してしまっている
兄「これで元気になるといいな。」
エレベーターに乗り、僕は手土産に買った
母さんの好きな桃の果実を覗き込む
エレベーターから降り、病室の前まで来た
兄「母さん〜。体調は大丈…。」
じぃちゃん「お前!今更何しに来たんだ?とっとと帰れ!」
じいちゃんの怒鳴り声が聞こえ手をかけた
ドアノブから引っ込める
…「何…心配して来たんですよ。」
冷めたような男の人の声が聞こえた
じいちゃん
「この人を昔散々利用しつくした挙げ句
捨てた奴が心配と?呆れたものだ。」
桃子「誰?おじさん誰なの?」
兄(ま、さか。…あいつ、は。)
バク、バクと心臓が暴れ始める
僕は抜けていく微かな力を振り絞り、ドアノブを
握りしめてドアを開ける
開いたドアに驚いた3人が一斉に此方を見る
桃子「!お兄ちゃん!」
僕の存在に気がついた桃子が駆け寄り、
後ろに隠れるようにくっついた
…「なんだ…まだ居たのか。」
じいちゃん「なっ…!貴様、なんじゃその言い方は!」
トゲのある冷ややかな発言にまたしても
じいちゃんは怒鳴り散らす
兄「お、お久しぶりです…父さん…。」
父「後ろにいる子供は何だ?」
じいちゃん
「お前と※※さんの子供に
決まっておるだろ!自分の子供に何て言い草じゃ…。」
相変わらず変わらない表情を父は桃子に向け、
その様子をじいちゃんは呆れ、ため息をつく
桃子「お父さん、私のお父さん?」
桃子は珍しく警戒した様子で僕達の父である
その男に目を向ける
父「ふーん…まぁいい。」
母「う…ん。桃子、どこにいるの…っ!」
ついさっきまで眠っていた母さんが目を覚まし、
父の存在に気がつくと目を見開いた
母「あ、なた…。どうして?」
父「丁度良い。これからの話をしにきた。」
父は持ってきたカバンをベッドの端にあったテーブルに置き、
開いて見せた
父「単刀直入に言う。籍を抜けて貰えないか?」
カバンには大量の札束が入っており、その上にも
大量の書類や緑の紙があった
まだ子供な僕でもどういう事か分かることだった
それから父は母さんとじいちゃんに色々説明
していたが話の内容が全く耳に入らない
僕はただその場で立ち尽くしていた



