これは知ってる、そんなのとっくに知ってる。
そうだよヤキモチだよ。
当たり前だ。
でもあんなの勝てっこないから。
ほら、そのテーブルに乗ったお粥だって完璧に作られてる。
「少しはあたしを頼ったらどうだ」
「なにをだ」
「組のことも、それ以外のことも。あんたは1人でぜんぶを抱えすぎていつも心配になる」
「…そう言ってくる女は2人目だ」
だめだよ、応えちゃ。
あのときと同じ。
そのままぎゅってされちゃうんじゃないの。
雅美さんのように。
「あの子にも言われたのか?」
「…いや。あいつはもっと格上だよ」
「……なんだそれ」
嬉しい言葉なはずなのに、嬉しくない。
私はあなたが思ってるより綺麗でも強くも格上でも何でもない。
そこまでキラキラ輝く光じゃない。
そのうしろにある夜景のほうがずっとずっと綺麗だ。
「あいつは俺を“強い”の上に置かねえんだよ。“弱い”の上にあるって、言ってくれてるような気がする」
「…よく分からないな」
「別に分かってもらうつもりもねえが。ただ、俺が“強い”から安心とかじゃなく“ふたり”だから安心なんだって、
…まぁこれも俺だけが分かればいいことだな」
それも嬉しい言葉だ。
うん、そうだよ。
私にはあなたさえいてくれればいい…昔から。
絃織はいつもいつも小さいときから守ろうとしてくれて、その強さと弱さを毎日見てた。
でも私は───…やっぱりまだ、だ。
だから私を頼ってくれないんだ。
頼りないから、私がまだ1人じゃ何もできないから。
「…決めた」
ドア前に袋をそっと置いて、背中を向けた。



