まさかそれが本当になってしまいそうだなんて。
だって千春さん、隠してるつもりなのかもしれないけど分かっちゃうんだよ。
「断る。俺はここを離れるつもりはない」
「はっ、そう言われることなんか予想の範囲内だ」
「つうか、前回俺を呼び出したのお前だろ。京都の佐伯組、どこかで聞いた名前だと思ってたんだ」
「なんのことかサッパリだな」
パンツスーツで男らしく振る舞って、かつての同級生として話してるつもりだろうけれど。
絃織が少し柔らかい顔を見せて、ため息を吐くように瞳を伏せる、そんな動作のひとつひとつ。
そんなものを見つめる彼女は明らかに恋する女の子だってこと───。
「……ねぇ、俺戻っていい?」
「だめっ!私たち親友じゃんっ!!」
とりあえずなぜか私は陽太の腕を無理やりに引いて、ふたりを道場に残してきてしまった。
……なんでそんなことしてるの、わたし。
でも、あの空気を見ているほうが辛かったから。
「あの人は強敵だねぇいろいろと。だって自分でも絃織さんに恋してるって気づいてないもん」
「やっぱりそうだよね!?私の勘違いじゃなかったよね!?!?」
「あーいうタイプは気づいてからが厄介。ツンツンがツンデレになるときほど面倒なことってないよ」
さすが天才ハッカー、もう分析してる。
いつの間にか友達から親友へと昇格している陽太は、面倒だと言いながらもこうして私の味方でいてくれるいいヤツ。



