このパターンは初めてだ。
天鬼組関連の者以外で、昔の彼を知る存在は。
「と言っても、関わってたのは1年だけだったがな」
「今は京都にいるんだったか」
「あぁ。だが那岐 絃織と関わった1年は濃いものだったぞ」
那岐 絃織って一々フルネームで呼ぶの面倒じゃないのかな…。
でも名前で呼び捨てされるよりは全然いい。あれは私だけの特権にしておきたかったから。
「それで、わざわざ何の用だ」
会話がどんどん進んでいってしまう。
そんなものについて行けない者がここに約2名ほど。
それにこうして並んでいるところを目の前にすると、いつかに街で見たショーウインドウのマネキンを思い出す。
……やっぱりお似合いだ。
「あぁ、佐伯組と天鬼組、今後の発展のためにも1つ提案があって来たんだ」
「提案…?」
「あたしと一緒に仕事しないか。新しい組を作ろうと考えていてな、そのためにあんたの力が欲しい。…那岐 絃織」
私の誕生日は今週の土曜日まで近づいていて、今日は水曜日。
どうしてこのタイミングでって、やっぱり恨みたくなってしまいそうだ。
強敵だ……。
それはもう今までにないくらいの強敵が現れてしまった。
「…どんまい絃ちゃん」
「……え、…な、なにが?」
「すっごい動揺してんじゃん。顔面蒼白、これ2回目だねぇ」
今はそいつの笑い声が有難い。
それくらいにもちろん私は動揺していた。
だってもしこの人が彼に近づいたならば、今回は私も譲ってしまうかも…なんて考えていたくらいなのだから。



