沈黙が気にならない。
気にならないけど、恥ずかしい。
だから紛らわすようにカレーをばくばくと口に運べば、格好いい顔して笑ってくれちゃって。
……これは逆効果だったと後悔。
「これ見えちゃわない!?」
「バリバリ見える」
「だよね…!?えっ、だよね!?」
そしてこのお洒落なお風呂にはどう入ればいいっていうの…。
なんでガラスドアに囲まれてるの。
「ぜっっったいここ開けちゃ駄目だよ…!!」
幸いお風呂場から続く脱衣場の扉はちゃんと普通の扉だった。
だからここさえきちんと閉じていれば、安全は確保される……が。
何せ鍵が付いていないらしい。
だからこそこれは信頼関係しか頼れるものがなく。
「信じてるからね…!!信じてるから本当に!!」
「…それフリだろ。押すな押すな押せよってヤツじゃねえのか」
「違うわっ!!」
それだったら見るな見るな見ろよってなっちゃうじゃん!
そんなのただの変態だってのっ!
「安心しろ、今はまだ見ねえよ。…たぶん見たら抑える自信ないしな」
「っ、」
そうやって甘く囁かれてしまえば、腰が砕けてしまいそうになる。
再来週…。
そのとき私は本当に覚悟できてるのかな…。
「わ、…わぁぁ……」
無事に何事もなくお風呂に入って、次は絃織が入りに行ったと思えばわりと早く出てきた。
「俺は基本シャワーが多い」
と言って、バスタオルで濡れた髪をガシガシ掻きながら私の隣にポスッと座る。



