光を掴んだその先に。─After story─





ボウルに割って、醤油と砂糖、塩でシンプルに味付け。

甘めが子供たちには人気だったから、お砂糖多めにしちゃったけど…絃織はどうだろう?

なんて思いながら箸でかき混ぜていれば。



「…!」



ふわっと、うしろから包み込むように首元に黒いスーツが回った。



「な、なんですか…」



いつもの場所じゃないといつも以上に緊張してしまう。

だから思わず敬語になっちゃって。



「いや、なんかムラッときた。いいな制服」


「へ、変態っ…!そういうのロリコンっていうんだよっ」


「誰がロリコンだよ。おまえ以外興味ねえっつうの」



ムラってなに…!?

そういうのわざわざ言われると余計恥ずかしいのに…!



「せ、制服着てる子なら…誰にでもそうなる…?」



かつて彼の縁談相手だった大手家電メーカーの令嬢である桜子ちゃんは、お嬢様学校のかわいい制服を着ていた。

こんなありふれたセーラー服じゃなくて。


それに……デカかった。

なにが、とは言わないが、大きかった。



「なるわけねえだろ。…お前なら裸でもいい」


「なっ…!それぜんぜん嬉しくない…っ!!」


「あぁ、確かに裸だともっと駄目だないろいろと」



もう!そーじゃないのにっ!


この人は思ったより変態さんだ。
そして意外と隠さずに言ってくる。

それでも許してしまうのは、惚れたなんちゃらってやつだ。



「着物も似合う。…ワンピースも、似合ってた」



それをいま言ってくるなんてズルい。

前は「まだ早い」なんて言ってきたくせに…。