その男の子はずっと自分の手を引いて歩いてくれること。

振り返って名前を呼んでくれること。

昔の記憶なのか全世の記憶なのか、そんな曖昧な中で。


ただ確かなことは。



『“私はその男の子が大好きです。それが恋なのか、分からないけれど、”』



もし、はっきりしない想いの正体を1つの言葉で表すとするならば。

それは恋よりずっとずっと上───…



『“それは、愛、なんじゃないかなって思います”』



……………なに言ってるの、過去の私。


本当に何をほざいてるの。

なにを作文にしてるの、先生さぞかし笑ってたことだ。



「…それ俺だろ」


「ち、ちちちちちがうよ…!?」


「そこで否定すんな。確実に俺じゃねえか」



悪戯な笑みは満足そうなものに変わってしまって。

とても幸せそうに嬉しそうにしているものだから。


まぁいいか…なんて思いたいけど恥ずかしい事この上ない。



「…愛、な。お前それ中学だろ。すげえわ」


「中二病だったの…!絶対そう!!愛とか闇とか、そーいうの流行るじゃん…っ」


「俺への愛を中二病で片付けんなよ」



こんなのもう教室に戻れない。

絶対みんなにからかわれる、てか陽太も聞いてる…。

学校でも家でも黒歴史のような作文が話題になること間違いなし。



「もうやだぁ…!わたし学校やめる…、退学する、このまま帰る……っ」


「退学理由、昔の作文を公開されたからですってか」



思わずキッと睨んだ。

容赦なく睨んだ。