だって仕方ないから。
そういう場だし、立場が立場だし…。
本当はすっっごい嫌だけど…!
「っ、」
すると、その先の男と一瞬目が合った。
…と思えば、女の集いを抜けるようにそのままスタスタ近づいてくる。
え、……え。
こっち来てる……?
「…よ。」
「……ど、どうも」
会話はそれだけ。
しかし戻ろうとせず、隣に立ったままだった。
手持ちぶさたになってしまって、とりあえず食事に手を付けた私。
そうすればふっと笑い声が聞こえてくる。
『だから次の、そのとき……、そういうコト……して、くれる…?』
あんなことを言ってしまったというのに、どんな顔で話せばいいの。
恥ずかしさなんかとっくに通り越してる。
それに、その“次のそのとき”は今日だ。
今日なのだ。
「那岐さんとお嬢様はお知り合いで?」
会話なくただ隣同士に立っていれば、もちろん近くの女たちから質問が上がる。
面倒そうだと察知した陽太はスタスタと移動して行ってしまったし…。
親友を助けようとは思わないのか、あいつは…。
「あぁ。こいつは───」
「昔からお世話になっているんですっ。兄のような、人で…」
まちがってない。
“兄だ”とは言ってない。
だからそんなに睨まなくていいのに…。
だって言っちゃだめじゃん。
本当のことなんか言えないでしょ…。
「あら、そうなんですか」
ホッとしたような女の返し。
そんなものにモヤモヤとやっぱり醜い感情が生まれてしまうけど、気にしないふりをした。



