それから、お互いの時間は合うことがなく…暫く絶った。
その間に、彼女の気持ちも少しは落ち着いてるかもしれない。
あの日、彼女が口にした言葉はなかったことになっているかもしれない。
好きだから。
俺たちは混じり合っちゃいけないんだ。
お互いの大切な存在を、時間を、そして未来を失わない為にも…。
雨は、今日も降っている。
淡い蒼色の雨。
心がズキズキと引き裂かれそうな、淡い淡い雨。
俺は、傘をささずに、出張先から何日かぶりに家へと帰る。
そこに、何か吹っ切れたような顔をした、彼女が現れた。
「…弥生子?」
「待ってた」
「…そっか」
「悠太に、報告があって…」
「中、入るか?」
「いいの?」
「だめだって言ったって、最初から入るつもりだろ?」
「…だね」
その後は、ほとんど何も会話はなく、部屋に通すと彼女は微笑んでから、こう言う。
「久しぶりだね、悠太の部屋」
「だな…」
本音は、言いたいことは何なんだと焦れていた。
でも、俺はそんな素振りを一切見せずに、エアコンスイッチを押してから、コーヒーメーカーの電源を入れた。
「あのね…?」
「ん?」
「やっぱり…私、悠太のこと、好きだよ」
「………」
「悠太が、信じられないのは分かってる。だから、今更彼女にして欲しいなんて、そんな都合のいい事はいわないよ?でもね?」
そこで、彼女は言葉を区切る。
じっと見つめてくるその瞳は、透き通り俺の顔が映っている。
それが、俺だけのものなんだと思ったら、言葉よりも先に、体が動いていた。
「はる……?」
「俺だって、好きだ。ばか。…一人でなんでも完結すんなよ。俺にもちゃんと、告白させろ」
「…だって…」
「…早く、こうしときゃ、良かった。変な意地張らないで………」



