幸せな記憶があるほど、悲しい思い出は深く心を傷つける。


「はぁ…っ、はっ…」

苦しくなってきて、胸を押さえる。

「紗夜っ、大丈夫か…!?」

「だい、じょうぶっ、気にしなくていい…っ」

「無理するな…っ」

「無理しない方が無理だよ。

無理しなきゃ、ここまで生きてこれなかったから…。

無理しないなんて選択肢は、私にはないんだ…っ」