殺人感染

同級生が同級生を殺すなんてこと、ありえないと思っていた。


時々ニュースで似たような事件を聞いても、自分には関係のない世界の話だと思っていた。


でも、そんなことが現実で起こるなんて……。


「まずい!!」


先生の声にハッと現実に引き戻された。


見ると幸子が教室後方のドアから逃げ出したのだ。


拘束に失敗したのだ!


あたしはすぐに廊下へとかけ出た。


幸子が奥の教室へ入るのが見えた。


追いかけようとしたが、恐怖で足がすくんで動かない。


幸子はカッターナイフを取り上げられているとわかっていても、やっぱり追いかけることはできなかった。


「倉庫に逃げ込んで内側から鍵をかけられました!」


幸子を追いかけて言った男子が戻ってきて、先生にそう報告をした。


普段から倉庫として使われている一番奥の教室は、普通の教室の半分ほどの広さしかない。


その上も窓もなくて埃っぽいから、そんなに長時間立てこもることはできないはずだ。


「とにかく一旦教室へ戻れ! 他の先生方にも報告をしてくる!」


先生はそう言い、青ざめた顔で職員室へと向かったのだった。