『尊和様の彼女だから余程美人だろうけどね』

 っ!

 ズキズキと、胸が痛む。

「ご、ごめんなさいっ……」

「え?どうしたの、ヒヨ?」

「や、やっぱり別れよう……?」

 昔から……可愛くないからいじめられていた。

 それに、尊和様を巻き込みたくない。

 そして、もしかしたら余計に自分も傷ついてしまうかもしれない。

 その時から、この2人(来楽&瑠奈)は守ってくれていた。

 だけど、2人にも迷惑をまたかけたくない。

 やっぱり、メイドとご主人様なんて付き合えるはずないし……。

 容姿だってこれほどちがう。

 尊和くんが、もっと平和な顔面偏差値で、お金持ちじゃなくて……普通だったなら……また……付き合えていたかも……。

 って……尊和くんはなにも悪くないのに……。

『全部アンタが悪いのよ!!』

 っ!

 昔の……仲のいい友達に裏切られた時の記憶が、蘇ってくる。

 悲しい……。

 悲しみなんて味わいたくない。

 やだっ……。

「尊和くん、バイバイ」

「っ!ヒヨ!!」

 清々しい笑みを見せながらそう告げて、屋上に向かった。