「俺さ、ずっと日和ちゃんのこと好きだったんだぁ。“小学生の頃から”」

 そう言った蒼くんを見ると、不敵な笑みを浮かべていた。

「チッ」

「君は、いつから日和ちゃんが好きなの?」

「……ヒヨをはなせ……」

「え?」

「と、尊和くんっ……?」

 わ、私と喋ってる時より1オクターブぐらい低い声になってるっ……!!

 ゴンッ!!

 グロテスクな音が教室中に鳴り響いた。

「チッ」

「そ、蒼くん……大丈夫……!?」

「ヒヨそんなヤツの心配なんてしなくていいんだよ?」

「と、尊和くん……?な、なんか怖いよ……?怒ってる……?」

「うん、怒ってる」

「ご、ごめんね……」

「ヒヨにじゃないよ?……いや、ヒヨにもちょっと怒ってる」

「ご、ごめんね……本当に……」

「なんで怒ってるかわかる?」
 
「え、えっと……」

「ヒヨが、抵抗しなかったからだよ?ソイツに」

「ええっ……あ、あのっ……て、抵抗は一応したつもりっ……だったんだけど……蒼くんの力が強く、私がバカなほど力が弱いせいで、全くとして抵抗してるように見えなかったんだと思うっ……」

「……そっか……ごめんね」

「ううん!わ、私こそごめんなさいっ……」