【短編】クロがないた日のレビュー一覧
赤、黒、青。 地上に数多く点在する赤や黒を余所に 空は、今日も青く澄んでいる。 遠い昔、人類が誕生した頃も 天井のスクリーンは、今と変わらず 同じ色を映していたに違いない。 きっと、遠い将来、滅びる時にも。 そう思うと、所有していた 全てのものに価値がなくなって 本当に大切なものだけが残る気がする。 7年かけて地上へ出て たったひと夏で生涯を全うする油ゼミ。 目に見えない力に流され 沢山の血を流した日本の国。 この作品には ほんの一瞬でも確かに存在していた 命の交流が描かれている。 憎しみを生む 火薬の赤、血の赤。 けれど、人と人とを繋ぐのもまた 温もりの赤に、他ならない。 愛の赤、命の赤。 それは、生き物なら皆共通の色のはず。 火種ではなく、灯(ともしび)が 人々の心に、点りますように。
耳をそばだて、目をこらし、私達はあの日の悲鳴を聞き、嘆きを聞き、黒煙を見つめるべきだ。 そしてその記憶を、未来へと語り続けるべきなのだ。 ハラグロさんの紡ぐお話は、いつも優しくて優しくて、切なくて、あたたかい。 恋愛小説じゃなくても、こんなにも素敵な作品が野いちごにはあるのです。 夏休み中の学生さん達にも、ぜひ読んでほしい作品です。
なぜ人は傷つけあうのだろう… 戦争と言う残酷で惨めな世界でお互いを必要とし、寄り添いながら生きてきたクロとおばあちゃん。 今、当たり前に生きている事を改めて考えさせられると同時に、感謝したくなるような、切なくも暖かいストーリー。 短い文章の中にギュッと閉じ込められた作者のメッセージを、是非とも感じ取って頂きたい作品です。
猫の目線から綴られた優しい文章の中の、争う事の愚かさ、大切な場所を失う喪失感。 猫であっても人であっても、大切な場所、記憶に代わりは存在しない。 エンディングの陽だまりを柔らかに感じてみませんか?
優しくて暖かいおばあちゃんと、とっても幸せに暮らしているクロ。そんな幸せな日々を脅かすのは…。 何故人は争いを繰り返し、互いを傷つけ合うのでしょう?様々な事情を考慮しても、命より大切な物は無い筈なのに…。 躍動感のある描写に、細部に渡るまで描かれた背景。11ページの中に綴られた、クロの思いの全てを貴方も読んでみて下さい。 何かきっと、貴方の心に残るものがあるでしょう。
短いのに…… こめられたたくさんの思いに 心に響く言葉 ちいさなか弱き存在のはちきれんばかりの思いに、とりまく愛に、心揺さぶられました。 読み終えれば、色々なものに ありがとう そう感謝したくなる気持ちにさせられる作品です。
この作品を読めばそう思えます。 誰しも悩みを抱えて、もがいて生きていると思います。 それでも、そんな辛い事ですらひょっとしたら幸せなのかな?と思ってしまう力のある作品です。 今、行き詰っている方に是非読んで頂きたい作品です!!