第一話
 高山玲奈は激務の会社で毎日終電の時間まで仕事をしている社畜OL。
 通勤時間に、大好きな三国志のアプリゲームをすることが唯一の癒しの時間だった。
 特に魏軍は個性豊かな武将達が多く、プレイしながら敵国を倒していくのが爽快だった。
 しかしある日の帰り道、疲労からふらつき、車道に倒れ込んでしまい車にぶつかるーーーと思った瞬間、目覚めたらゲームの中の三国志の世界に転生してしまっていた。
 ゲームのヒロインである美少女のキャラクターの容姿で、推しである曹操として転生したのだ。

「曹操様、朝の儀をお願いいたします」

 玉座に座る自分に、かしずく家臣達。
 軍師の郭嘉、荀彧。武将の楽進、李典、張遼たち。
 そして、一番近くで自分の右腕として頭を下げるのは、隻眼の猛将と呼ばれた夏侯惇だった。

 
第二話
 個性的な家臣達から、どうやら曹操である自分は好かれているようだ。
 楽進は、曹操様の好みの男を集めたと、閨のお供にする男達を紹介してきたし(もちろん断ったが)、郭嘉は全国から取り寄せた茶菓子と茶を揃えてお茶会を始めるのであった。
 その側には、いつも夏侯惇がついて来ており、万が一曹操に敵意を剥ける者がいないように見張っている。
 風呂に入るときも、当たり前のように一緒に入って来て体を流し髪をとかしてくる。
 恋愛経験などほぼ無い玲奈は、美丈夫な夏侯惇の自分への溺愛っぷりに赤面しっぱなしなのだった。


第三話
 恥ずかしいと言っても、一緒の布団で寝る事をやめない夏侯惇に添い寝をしてもらっている。
 ある夜、呂布との戦いの際に、自分が敵の弓兵に狙われ、命の危機に陥った時。
 燃え盛る炎の中、曹操である自分を救い出し、その左目に敵の弓矢を受けて血を流す夏侯惇の姿。
 起きた後、隣に寝ている夏侯惇の左目の傷を撫で、自分を命の危険を冒して守ってくれたのだと、その忠心が胸を打つ。夏侯惇は当たり前のように、「命よりも大切な存在だから、守るのは当たり前だ。この傷は俺の誇りだ」と言い、玲奈を抱きしめる。