「何故、姫様を連れて帰っては駄目なのですか? 王よ」 とジンは侍女に詰め寄られていた。 「それは……」 と言い淀んでいると、侍女はジンを一睨みし、 「陛下。 もしやもう、姫様をキズモノになさったとか?」 と非難がましく言ってくる。 「ま、まだなにもしてはいない」 そううろたえる自分の前で、え、まだ? とアローナが怯える。 「なにもしてないのならいいではないですか」 と言い放った侍女は、 「では、姫様を連れて帰ります」 と言い出した。