貢ぎモノ姫の宮廷生活 ~旅の途中、娼館に売られました~

 うちの国なら、切って捨てられているっ!

 いや、かなりの毒舌なフェルナンが野放しなので、うちも似たようなものかもしれないが。

 ともかく、我が身にかえてもアローナ姫を守ろうという気概が感じられるのは良いことだ、と罵られながらもジンは思っていた。

 まあそのわりに姫と似て、抜けているところがあるらしく、盗賊に姫を連れ去られたりもしているようだが……。

「姫様がお世話になりました」
と一応、こちらに頭を下げたあとで、侍女は、

「でも、よく考えたら、姫様は前王に嫁がれたのですから、ジン様がどのような方だろうと関係なかったですね。

 代替わりしてしまったのなら、此処に用はないですし。
 帰りましょうか」
と言うと、ささ、と手を引き、アローナを連れていってしまおうとする。

「ま、待てっ」
とジンは思わず、アローナの手をつかんでしまい、侍女に睨まれた。