貢ぎモノ姫の宮廷生活 ~旅の途中、娼館に売られました~

 アローナは一応、父の許に嫁いできている。

 実質権力を失ってはいるのだが。

 大丈夫だろうか。
 アローナが要るとか言い出さないだろうか。

 アローナが父に、ではなく、『メディフィスの王』に嫁いできたというのなら問題はないのだが。

「姫を保護していただきありがとうございます」
とその侍女は城のみんなに頭を下げたあとで、

「で、この方は?」
とこちらを見て、アローナに問う。

「あ、メディフィスの新しい王様、ジン様よ」

 そうアローナに教えられた侍女は、
「そうですか。
 この方が今のメディフィスの王……」
とアローナに向けていたのとはまったく違う、鋭い瞳でこちらを見る。

 その辺の間者より油断ならない顔つきに、ビクリとしたとき、

「お見受けしたところ、いささか頼りないような雰囲気ですが、大丈夫ですか?」
と侍女は突然、アローナに向かい、言い放った。

 侍女、毒舌っ!
とフェルナンと二人、衝撃を受ける。