鷹匠(たかじょう)っ!?」

 違います……。

 そのとき、
「お逃げください!」
と声がした。

 階段の方を見ると、フェルナンが急いで階段を駆け上がってくるところだった。
「その娘、その鷹でジン様を殺すつもりかもしれません!」

 いや、どうやって…と思うアローナの横で、
「どうやってだ」
とジンが訊く。

「……少々お待ち下さい」
と言うフェルナンは、どうやって鷹で殺せるのか考えているようだった。

 小首を傾げたあとで、フェルナンは自信なさげに、
「た、鷹に頭をくわえさせて放り投げる、とかですかね?」
と言ってきた。

 いや……この人、重すぎるんじゃ、とアローナは頭の中で鷹にジンをくわえさせながら思う。

 それなら、どん、と私が此処から突いた方が簡単確実じゃないだろうか、と思いながら、ジンを見て、塔の端を見て、下を見る。

 フェルナンが、
「ほら、この娘。
 なにやら、恐ろしいことを考えてそうですよ」
とアローナの視線を追って言ってきた。