貢ぎモノ姫の宮廷生活 ~旅の途中、娼館に売られました~

「いいえ。
 私にちょっと命じてくださるだけでいいのです」

「実は私、前王を殺せと命じられて此処に来たのですが。
 潜入した途端、前王はジン様に追いやられてしまい、やることがなくなってしまったのです」

 刺客がやることがないというのはいいことのような気がしますが……。

「もしや、側室とかになって、潜入されたのですか?」

 まだ口をぱくぱくさせて、アローナは訊いたが、

「アローナ様。
 私は側室にはなれません」
と彼女は言う。

「何故ですか?」

「私、男だからです」

 そう、その美女は言った。