貢ぎモノ姫の宮廷生活 ~旅の途中、娼館に売られました~

「王様呼ぶより、あんたたちが連れて行った方が早いんじゃないの?」
とエメリアには言われていたが。

「頭、お世話になりました」
とアローナが前に進み出て言うと、

「いや、こちらこそ世話になった。
 お前に習ったこと、忘れはせぬぞ。

 今後の活動にいかそう」
と頭は満足げに笑い、言ってくる。

 今後の活動って……盗賊団の?
と思っている間に、

「またな、アローナ。
 よし、行くぞ、お前ら」
と頭はインコを肩に乗せ、去って行こうとする。

 ……そういえば、そもそもの始まりは、この人たちにさらわれたことだったような気が、とアローナが思ったとき、レオが頭たちに言った。

「盗賊、私を送っていけ。
 島の方に流れ着いていた兵たちに迎えの者を差し向けねばな」

「いや~、もうアハト様たちが助けてそうな気がしますけどね」
と言いながら、アローナは彼らを見送る。

 娼館で借りたラクダに乗るレオたちの影が砂漠の方に消えていった。

 振り向いたエメリアが言う。

「さ、アローナ。
 迎えが来るまで働いて」

「ええっ?」

「だって、暇でしょう、ただ待ってるのも。
 働いて」

「でもあの、またそんなことしてたら、ジン様に叱られま……」