貢ぎモノ姫の宮廷生活 ~旅の途中、娼館に売られました~



「確かに。
 お前が働いているのに、私が協力しないのはまずいな」

 この人使えない、と思っているアローナに、そうレオが言ってきた。

「では」

 なにかしてくれるのかな、と思ったが、レオは寝たまま、

「お前も此処で横になるがよい」
と言い出した。

 ……どうしよう。
 ほんとうに使えない。

「では、作業するお前を抱えておいてやろう」
とやってきたレオは本当にアローナを抱き上げる。

 いや……やりづらいんで。

 流木をつかんだまま、お姫様抱っこされ、アローナは言った。

「あのー、私より流木の方が軽いですよね?」

「気持ちの問題だ」

 ジン様とは違う意味で困った人だ、と思いながらアローナは言う。

「もしかしたら、迎えの船が近くに居るかもしれません。
 鷹が乗ってるかも」

 シャナが連れてきてくれてたからな。
 あの裏切り者め、と思いながら、指笛を鳴らしたが、鷹は来ない。

「レオ様、ちょっと下ろしてください」
と言ったアローナは、よくしなる感じの長めの枝を拾ってきた。

 ヒュンヒュンと枝は音を立て。

 やがて海の向こうから必死な感じで羽根をはばたかせ、インコがやってきた。

「インコ!」

「これはかわいいな」
と一生懸命やってくるインコを見てレオが言う。