「や、やめてっ」
ドンッとその肩を押せば、強制的に唇は離れた。
拒んでしまった。
いつも手を繋いであげていたのは私なのに。
初めて自分から離した。
…いや、2回目だ。
「…もう家族じゃないってのはこういうことなんだよ」
それだけ吐き捨ててバスケットボール片手に倉庫から出て行った。
ペタリと座り込んでいれば、いつの間にか昼休み終了のチャイム。
そのあとはどんなふうに午後の授業を受けたかなんて覚えてない。
それはもう魂の抜けた脱け殻のようだったと思う。
「おい、」
「はい」
「たとえお荷物だとしてもそこまでリアルにやれとは言ってねえだろ」
「……え。」
ハッと我に帰ったとき、ベンツ車の後方にあるトランクの扉を開けて乗り込もうとしている自分。
………なにしてるのわたし。
「……やっぱり私はお荷物なんだ…。そうだよね、お荷物だもん…」
「…真に受けんな、笑うとこだろここは」
周りの黄色い声だって視線だって、耳にも入らなければ目にも入らない。
朝はすっごく気になったのに…。
「なにかあったか」
「………いや…」
「言え」



