光を掴んだその先に。





「あ、…佳祐…」



バッタリ合ってしまった体育館倉庫。


一応私は体育委員でもあって。

こうして昼休み前、実技後の片付け作業をしていれば、鉢合わせた幼なじみの動きも止まる。



「元気…だった…?」


「…まぁ」


「ひまわり園のみんなは…?」


「元気」



相変わらず単語ばかりの返しだ。

それはこの男に反抗期が訪れたときから私と話すのが面倒だったのか、そんな返事しかされなかった。


それでも離れる直前は昔みたいに話してくれたのに。



「…住む世界が違ったんだよな、俺たちは」


「え…?」


「お前には帰る場所も親も家族も…ちゃんとあったんだよ」



なにをどう返したらいいか分からなかった。

一線が、目の前に簡単に引かれてしまう。


それは「もうこっちへは来るな」「お前なんか大嫌いだ」と、仲間外れされているみたいで。



「…良かったじゃん」



震えていて、可哀想な声だ。

その笑顔だってちゃんと笑えていないことを知っているのは私だけ。


ここに居るのは───幼い頃の佳祐だった。