光を掴んだその先に。





「じゃあ特別養子縁組で引き取ってくれた人があのイケメン執事ってこと!?」


「うんうん」


「それで結構なセレブで、毎日送り迎え付きだって!?」


「そうそう」



もうこれが精一杯。
別に間違ってはいないし、辻褄も合わないことはない。

実際に私がひまわり園にいないのも事実なんだから。


明莉と優花にさえ説明しておけば、ヒソヒソと噂立てするクラスメイトにも伝わってくれるはず。

そして後々は全校生徒にも。



「なっにその出来すぎた話…!!最近の少女漫画でも無いでしょそんなの!」


「私だって未だに信じられないってばっ」



知らないことばかりだし。

とくに謎多きあの教育係については。


でも私が天鬼という真実はどうしたって真実で。

やっと広すぎる屋敷にも部屋にも慣れてきた頃だった。



「それでちょっといろいろ厳しいとこだから、今までみたいに遊んだりする頻度は減っちゃうけど…」


「そっかぁ…」



それでも友達でいてくれるかなぁ。

こうして学校で話すくらいしか接点なくなっちゃうし、お祭りとかも一緒にはもう行けないかもしれない。

行ったとしても確実に護衛つき。



「でもこれから毎日朝と帰りにあのイケメン執事に会えるってことよね?」


「…うん、まぁ」


「「全然オッケー」」



おい、声揃ってんぞコラ。

せめてもう少し落ち込め、ふりでもいいから落ち込めっての。