それから数日経って、園長先生やみっちゃんとは気まずいままだったけど、それでもいつも通り私は良きお姉ちゃんとして暮らしていた。


変わらずひまわり園が私の家。


だけど、ほんのちょっとずつ出た違和感は日に日に大きくなってゆく。



「どうしたのそれ…!!誰かにいじめられたの…!?」


「…別になんでもない。ただチンピラに絡まれただけだよ」



その子は中学生組のひとり。

普段から賑やかでムードメーカー的な立場だったが、その日は妙に静かだった。


それは唇の横にできた血豆が原因だろう。



「チンピラってなに…?今までそんなこと無かったでしょ!」


「さわるな…!絃姉が…っ」


「…私が…なに…?」



なにかを言いかけて、ばつの悪そうに口をぎゅっと閉じてしまった。

傷を見せてと手を伸ばしただけなのに怯えた眼差しで私を見つめる。



「…ごめん絃姉。…俺、ちょっともう寝たい」



なにかを隠している。
それはこの子だけじゃない。

小学生組も中学生組も、保育園組までも私によそよそしくなった。


それはあの日、怖い男ふたりがこの場所を訪れたことが理由ではないだろう。