光を掴んだその先に。





「うぅ…怖いってこれ……」



真っ暗な道。

電気を付けようかと思ったけど、これ極秘資料とか言ってたし誰かに見つかったら駄目なんじゃないの…。


数日前のことを思い出した。


那岐が刺青に怖がった私を抱っこしてくれたとき。

こういう暗いところに怖がったりしたときも同じようにしてくれてたのかな…。



「本当に結婚…しちゃうのかな…」



しないでほしい。

那岐はずっと私の那岐で……って、私のじゃないのに。

ただ小さな頃に可愛がってくれていただけで、ただそれだけ。



「桜子ちゃんと那岐、誰が見てもお似合いだもん」



そんな独り言をつぶやいていれば、書斎のような物置部屋に到着。

パチンと電気を付けると、奥の机にあるものを発見。



「なにこれ……」



それはまるで私に見つけてもらうように、わざと置かれたようにも見てとれる。


机の上に置いてあったものは、年代物のビデオカメラと古びたファイル。

ビデオカメラは作動しなければ観れないから、必然的にファイルへと視線は移ってしまう。



「…那岐、組……惨殺、事件」



その文字をすぐ読み取ってしまったのは、見慣れていたから。

毎日のように呼んでいる大好きな名前だったから。