光を掴んだその先に。





「あーっ!!もうっ!これ細かいんだから紛失したらどうすんのっ!」


「ごめんごめん。なにこれ数珠?」


「パワーストーンだよっ!」



最近の私の趣味といっては何だが、毎日寝る前にしている日課がある。

それはもちろん今では那岐のお部屋にお邪魔することが出来なくなったからこそ。


座卓の端に立てられた写真立てを眺めながら、ゆっくり作業するこの時間が気に入ってたりするのだ。



「アメジスト…?だっけ!綺麗でしょー」


「絃織さんに?」


「……うん」



こいつは何でも当ててしまうから、嫌でもありラクだったりもする。

そして絃ちゃんは無理だよ、なんてサラッと傷つく言葉を言ってくるに違いないから相手にしない。


だけど今回は「ふうん?」と、一言落とした陽太。



「本当に冒険の書を探しに行くつもりなんだ?」



冒険は終わりそうだ、なんて言えない。

だから返事はしなかった。



「確かアメジストは魔除けって意味があるし」


「えっ、そうなの…!?」


「だよねぇ絃ちゃんだもんね、知らなくて買ったよねさすがだよね」



…放っとけっての。

すっごく色が綺麗だから、“これだ”って思って購入したものがアメジストだった。


でもまさかそんな意味が込められてるなんて、これは冒険しろっていう何かの暗示だったり…?


それに何より那岐に似合いそうだったから。

私からあげた物なら付けてくれるんじゃないかって。