光を掴んだその先に。





「………まちがえた。」


「えっ」


「……下りろ」


「いや那岐がしたのにっ!」



ようやく状況を理解すると、私をゆっくり下ろした。

「やっちまった」と、那岐はとてもばつの悪そうな顔をして。


もちろんそんな那岐をからかう男はいる。



「ぷっ、あははははっ!!え、なんなのパパなの?絃織さんパパなの?」


「黙れ。…昔の癖だ」


「それにしても完璧な動きすぎて見入っちゃったよ」



陽太に続いてその場にいた男たちも笑っている。

さっきまでのピリピリしていた空気感が那岐の驚きの行動に和らいでしまった。


───…昔の癖。


その言葉に「お前は刺青や煙草が嫌いでよく泣いていた」と、前に那岐が話してくれたことを思い出した。

本当にずっとこうしてくれてたんだ…。
嬉しいのにちょっとだけ複雑だったりもする。



「とりあえず今回の件はおやっさんにも報告しておく。俺たちはどうやら狙われているらしい、くれぐれも気をつけろ」


「「「へいっ!!」」」



龍牙組───…。

そう、最初も私は彼らに狙われていた。
今度奴らは誰をターゲットにしているのだろう。


それでも冷静な判断を下す那岐はやっぱり幹部なのだと。

そして、お父さんに次の頭にすると言われていた男。



「いーとーちゃん」


「いま忙しいからあとにしてっ」


「わっ!!!」


「うわぁっ!!」



ばぁっ!っといきなり驚かされれば、手はパッと開いた。

必死に糸に通していた丸い玉が座卓の上に散らばる。