「あ、まだそのシール貼ってたの?」
勉強机の引き出しに不恰好に貼られたシールは剥がれかけているが、ひどく懐かしいものだった。
同じ部屋だったとき、与えられたお下がりの机がどこか嫌で泣いていた佳祐。
「…別にわざわざ剥がすもんでもないし」
あの頃は可愛かったなぁ…。
確か私がそのシールを貼ってあげたんだよね。
「ふふっ、お菓子のおまけだったけど…」
「なんのキャラかも謎だしな。これは永遠の謎だ」
「確かに。どこかで見たことあるようでないキャラクターなんだよねぇ」
駄菓子屋でよく買ったチョコに必ず付いてくる1枚のシール。
私はそれをずっと集めていて、シールとして使わないように大切に保管していたけど。
そのときに初めて使ったんだっけ。
「背も伸びちゃったしさぁ…どんどん抜かされてっちゃう」
「当たり前だろ、男だぞ俺」
昔は私のほうが大きかったのに。
弟みたいで可愛かったのに。
今は私より帰りが遅いし、いつもどこで遊んできてるんだか。
知らないだろうけど、たまに門限破ったときに庇ってあげてるの私なんだからね。



