光を掴んだその先に。





気安く名前を呼ばないで。
どうしてあなたが私の名前を知ってるの。

会いたかったって、なに?
私をずっと馬鹿にして笑ってたってこと?


あんたは私の本当のお父さんを“おやっさん”と言っていた。

私は“お父さん”とも呼んだことないのに…。



「……って感じで逃げてきちゃったんだけどね?」


「アホだな」


「うん、自分でも思う」



そこは佳祐の部屋。

昔は同じ部屋だったが、10歳からは男女それぞれに分けられてしまった。


隠れるように身を屈めて、佳祐のベッドにうずくまる私。


いつの間にか帰宅していたらしい佳祐にポツポツ事情を話してみるけど、やはりそこまで信用していないらしい。

うん、私だって信じられない。



「で、お前はどうすんの。ある意味ほんとうの家族に会えるってことだろ」


「…会いたくない。あんな人たちなんか大嫌い」



まだ両親が事故で帰らぬ人に…とかのほうが良かった。

だってそれだったなら「仕方ない」で納得できるから。


でも生きているってことは、私をここに故意的に預けたってことだ。

……捨てたってことだ。