「あーっと、えーっと、その執事の……」


「「その執事の…?」」


「お、とうと…?」


「「弟ぉ!?」」



咄嗟に何を言ってしまったんだろう私は。

あの2人はぜんっぜん似ていないというのに。

性格も正反対だし、那岐はどちらかというと猫で陽太は犬だ。


でもこれがいちばん丸く収まるような気がしたから…。



「なっるほどねぇ~」


「うんうん納得」



ほら、よかった。

わりと上手く誤魔化せるんじゃないかなって思ってた。

結局あの2人は顔がいいから、兄弟って言われても別におかしくはない。



「「なんて、なるわけないでしょっ!!」」


「え。」



前も思ったけど、どうしてこのふたりってここまで息が揃うの?

逆にこいつらが姉妹なんじゃないの…?



「羨ましすぎんのよ!!!」


「譲れ!?あたしらに譲れっ!?」



いや2人しか居ないのに2人に譲っちゃったら居なくなっちゃうじゃないですか、裁判官さん…。

陽太はどうぞあげますって感じだけど、那岐は駄目だ。


……ん?……うん…?
……駄目……?あはは?



「天馬はどーしたっ!?もう心変わりか!?」


「え、天馬くんて誰」


「鬼かお前は…!!」



うそ、本当は覚えてる。

けどさすがにもう落ち込んでもいなければ腹立ってもいない。


だって、ずっと待っていた王子様はちゃんと迎えに来てくれたから。