光を掴んだその先に。





「じゃあね絃ちゃん。今日も学校がんばって」


「陽太もあまりみんなに失礼なこと言っちゃ駄目だよ!」


「え?なんのこと?」



太っている幹部には「デブ」と言い、ヘアスタイルが変な男には「ハゲのほうがまだいいよ?」と言い…。

とうとうお父さんにも「お頭さん、それなんの罰ゲームですか」なんて平気で言ってしまうお前のことだよ、天道 陽太。



「そうだ俺、彼女と待ち合わせてたんだった。じゃねー」


「えっ、そのまま行くの!?それ俊吾の車だからぜったい怒られ───…って、行っちゃったし…」



いつも通りのスマイルを送った男は、ヒラヒラと手を振って車を走らせた。

今日は俊吾も留守にしてて那岐も早朝からいなく、初めて陽太の運転する車に送ってもらったわけなのですが……。



「丁寧っ!ぜんっぜん違うっ!!」



最近は俊吾の荒い運転のほうが多かったからか、感覚が麻痺しちゃってるのかもしれなけど。

奴の運転は意外にも安心できた。

ちゃんと信号は余裕持って止まるし、スピードも緩やかな速度。


表面的には穏やかな性格してるからかなぁ…。



「でもやっぱり那岐がいい…」



まだ忙しいのかな…。
桜木を追っているのかな…。

佳祐の父親である男は佳祐だけじゃなく、那岐にとっても深い関わりがある男らしい。