那岐も小さなときからここにいたってことは誰かの息子さんとか、そういう感じなのかな。
でも毎日一緒だったって、それはまるで……。
「兄妹みたいだねっ」
「…そう…だな」
でも顔もぜんぜん似てないし、苗字も違う。
だからそれは絶対にあり得ないけど、那岐がお兄ちゃんだったら自慢すぎる兄だ。
でも兄妹じゃなくて良かったとも思ってしまう。
「…お前、あまりあいつに近づくなよ」
「あいつ…?」
「天道」
那岐、ちょっと機嫌悪い…?
つまらなそうな顔してる…。
大事にしていたオモチャを取られた子供みたいだ。
「でも陽太、那岐のこと結構きいてたよ」
ピクッと、男の眉が寄った。
そしてメラメラと背中にどす黒いオーラが出てる…。
「陽太?」と復唱した那岐は、その呼び方がどうも気に食わないらしい。
「…それにお前もなに気安く名前で呼ばせてんだよ」
あ…確かに。
絃ちゃんって当たり前のように呼ばれてる。
けど、やめてって言っても絶対やめてくれなさそうだしあの人…。
首を傾げて「なんで?」なんて言ってきそうだ。
「誰が名付けたと思ってんだよ。俺に許可取れっつう話だろ」
「……え。」
いま、この人なんて…?



