光を掴んだその先に。





『16の娘となれば彼氏がいるのは当たり前っすよ!』



なんで俺はいつかの俊吾の言葉を思い出してんだよ。


だが少し前はナンパされていた女を助けたらしいが、いつの間にかされる側になっている。

17になる年、1日1日知らない顔をすることがまた増えた。



「…いいなぁ、」



ポツリとつぶやいた先には手を繋ぐ男女。

小川に足を浸けては笑い、水をかけ合っては子供のようにはしゃいでいる。



「わっ、えっ、那岐?」



ぐいっとその手を引いて、天鬼組の宴会場から見えない方面へ向かった。


なんでこんなことをしてるのかも分からない。

それは昔、小さな手を引いていたものと同じかと問われれば素直に答えられない。



「…別に俺がいるだろ」


「え…?」


「あんな男より俺のほうが強い」



わかっている。

こいつが「いいな」と言ったのは、2人の男女の関係性を見ていたことなど。

だがそうだとしても他の男を目に映していることに、どこか苛立った。


そしていつかこいつも知らない男とあんなふうに歩くのかと思ったら、今にも潰してしまいたかった。

世の中のありとあらゆる男を。



「わぁ!」



ぶわっと舞い上がる桜の花びら。

わいわい賑わう仲間たちの声が微かに届いてくる木の下で。