光を掴んだその先に。





「あなたが…!!ぜひぜひ上がってください…!!」


「えっ、ちょっと園長先生なに言ってんの!?こんなのどう見たってここの園を潰そうとしてる取り立て屋でしょっ!」


「馬鹿、むしろ逆だ」



───馬鹿…?


初対面の人にふつう馬鹿って言う?

勝手にこの場所に来て無断駐車して、私に会いたかったなんだほざいたと思えば中に入っていくスーツ男。



「単刀直入に言う。ここの施設の支援を続ける代わり、約束通りこいつは俺たちが引き取る」



まるでそれが交換条件だというように、淡々と言い放った男。

用意された一室は普段職員しか入ってはいけない扉の先だった。


子供たちは今ごろ大丈夫かと心配なのに、どうにも私も同じ場所に座らされていた。



「引き取る……?」


「あぁ、俺がお前の教育係に任命された」



いやいやぜんぜん話が読めないし、教育係ってなに…?

私はどこの家庭に引き取られちゃうの?


ここに来る大人は子供たちの身内か、特別養子縁組を望む里親だけだ。


今までもそんなものに引き取られて出て行った子供が数人いる。

だけど私はもう16歳だから、今さら引き取られることもなく、高校卒業までここで生きていくんだと思っていた。