「守る。俺が、…絶対にお前を守る。───……今度こそ」
ねぇ那岐。
どうして私をそんなに守ってくれるの…?
私たちはあのとき、ひまわり園で会ったのが初めてじゃないよね…?
だって那岐に抱きしめられると、その香水の匂いを嗅ぐと、必ず昔を思い出す。
「…今も昔も、…那岐は私を守ってくれてるよ」
小さいときからそうだった。
施設で寂しくて寂しくてどうしようもないとき、私はぎゅっと目を閉じて夢の中に籠る。
『大丈夫。絃、俺が絶対にお前だけは守るよ』
そうすると必ずあなたが出てきてくれた。
あなただって小さいのに、それでも抱えているものはきっと誰よりも大きくて。
それなのに私を優しく抱きしめてくれて、手を握ってくれる人。
そんな子が夢の中に出てきてくれるから、私は寂しくなかった。
「お前は俺の光だ。光なんだ、出会った頃からずっと───…」
「…那岐も、私にとって……光だよ」
その子があなたじゃなかったとしても。
あなたに似ている人、ただそれだけかもしれないけれど。
でも私はあの子は那岐だと思う。
「……那岐、………だいすき。」
海風に消えてしまう声。
夜の静けさに飲み込まれてしまう声。
その胸に隠れてしまう声。
だとしても、気付けばそんな言葉を言っていた。



