光を掴んだその先に。





「うわぁぁぁぁんっ!!」


「怖いよぉぉっ!」


「こ、ここはどうかお引き取り願いたく…!!」



いつも通りの帰宅だった。

いつも通り賑わう商店街を通って、施設へとまっすぐに向かった私は。


園の入り口に屯う数人の様子に駆け足で向かう。



「みっちゃんっ!!何事なの…!?」


「絃ちゃん…!お願い、とりあえず子供たちを中に入れて!」



みっちゃん含む職員たちが並び、それまで庭で遊んでいた弟や妹たちは大泣きだった。


そこには黒いベンツ車が一台。

黒ずくめのスーツに身を包む若い男が1人と、柄の悪そうな男が1人。



「───…いと…?」



私の名前をポツリと復唱した男は、黒いスーツに同じ色をしたネクタイ、そして灰色のワイシャツ。

スラッと伸びた手足がスーツ姿を際立たせて、覗く白い首筋に綺麗な黒髪。


一見どこの芸能人なのかと、モデルさんなのかと疑ってしまうほどの風貌だった。



「こ、ここになんの用ですか…?引き取ってもらえないなら警察呼びますよ…!」


「あぁ、引き取りに来たんだ俺は」


「…はい…?」



どうしよう、借金の取り立てとか…?
この園を潰そうとする悪い輩が来たとか…?

園長先生でさえ今にも腰を抜かしそうだったから、思わず前に出てしまったけど…。