「秋音。君は、僕を励ましてくれた。莉亜が好きだった僕を」

「へっ……?」

「莉君に、負けて莉亜を取られた。」

「……?」

「莉亜には存在も届いていなかったかもしれないけれど、僕と莉君は、幼なじみで、親友だった。「僕になにかあれば莉亜を頼む」そうずっと言っていた」

「……!そ、そういうことだったのね……」

「……ふざけないでよ!!!あんたはっ……尊さんまでっ……」

「お前が金目当てで浮気したからだろう?とっくに離婚している。さっさと出てけ。じゃないと警察を呼ぶぞ」

「なっ……!?」

 さすがにヤバいと思ったのか、秋音さんは「あ、諦めないんだからね!」そう言って、帰って行ってしまった。

「……莉君くんっ……」

「莉君ができなかった分まで、僕が幸せにする」

「は、はいっ……!」

 涙を流しながら、ただただ永遠に戻らない永遠に愛しい莉君くんのことを想った。

【本当の母親】end